徹底比較!撮影で使うマイクあれこれ
■今回使用したマイク
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ラベリアマイク(無線)
SONY URX-P03/UTX-B03
ラベリアマイク(有線)
Senal PS – 48B – YP-35H
ハンドマイク(無線)
SONY URX-P2/UTX-H2
ハンドマイク(有線)
Classic Pro CM5S
バウンダリマイク
Audio-technical AT871UG
ガンマイク
SONY ECM-XM1
グースネックスタンドマイク
JTS ST-5030/
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今回は こういった様々あるマイクで、実際に撮影の場ではどのように使い分けているのか、それぞれのマイクの特徴と共にご説明させていただきます。
その前にまず、マイクには2つの種類があると、1つが ダイナミックマイク、そして2つ目が コンデンサマイク、この2つに分かれているということをご説明します。
こちらがダイナミックマイクと言われるタイプで、こちらにはXLRの音声のキャノンケーブルを挿せば使えるものになります。
こちらにつきましては感度はやや劣る、その代わり湿度に強く耐久性に優れているという特徴があります。
あとは比較的安価なものになります。
そして一方のコンデンサマイクの方はこちらなんですが、こちらにキャノンケーブル、XLRのケーブルを挿すときにミキサーの方で+48Vのファンタム電源と呼ばれる、まあ少し給電してその電気で使うタイプのマイクということになっています。
こちらのコンデンサマイクは、ダイナミックマイクと比べまして湿度や耐久性にはやや劣るけども非常に感度がいいと、そしてやや高価であると、そういったこの2つのマイクの特徴があります。
使い分けとしてはダイナミックマイクの方は感度が少し劣るというところで、高音ですとか すごい繊細な音までは拾いづらいんですがその分周りの環境音なども拾いづらくなります。
こちらコンデンサマイクの方は感度がいいですので、非常に繊細な声を拾うことができますが、その分周りの環境音も広く入ってしまうというような特徴があります。
次に各マイクにはそれぞれ指向性と呼ばれるものがありまして、それはなにかと言いますと、要するにそのマイクに対して、どの方向からの音を集音しやすいかというのが、指向性というふうに呼ばれるものになります。
これは大きく分けて3つありまして、1つが無指向性、または全指向性。
そしてもう1つが単一指向性。
もう1つが双指向性と呼ばれるものになります
無指向性 または 全指向性というのは、要するに拾う範囲が360度、広いタイプのものになります。
例えばこのタイプのマイクですと、これを卓上に置きますと幅広く360度拾えるというものが無指向性、または全指向性ですね。
こちらは正確にはきれいな丸ではないので完全に360度かわかりませんが、幅広い範囲で拾えるタイプのマイクになります。
そして次に単一指向性というのが、一方向からの音声の入力に強いマイクということになります。
例えばこのようなマイクですね。
このようなマイクはこちら側、つまりこうしゃべるのに向いているマイクです。
こうですね。
その代わり後ろからは拾いづらいというのが単一指向性、一つの方向からの集音に優れているマイク、ということになります。
この単一指向性につきましては一方向と言いましても、完全に一方向というよりはもちろん幅広くあります。
それが幅広いワイドのものもあれば、やや狭いものもあったり極端に狭いものもあったりと、そのように単一指向性につきましてはさらに細かく分かれているものになります。
そして 双指向性と呼ばれるマイクで、これはこのスタジオにはないんですけども、こちらからもこちらからも、両方からの音声を拾えるマイクということになりますね。
例えば対談のように向かい合ってしゃべっている、その両方側からの音声を拾いやすい というのが双指向性のマイクということで、大きく分けてこの3つに分かれているということになります。
続いてスタジオにこういった様々な形状のマイクがありますが、どのようなシーンでどのように使っているか、また各マイクの特徴などをご説明します。
まずはラベリアマイク、ピンマイクと呼ばれるものですが、今集音しているこのマイクです。
こちら今無線のものを使っていますのでケーブルなどがなく、非常に講演者の方が動きやすいという特徴があります。
広い会場でのセミナーなどは講演者の方が歩き回ったりもすると思うんですが、常に口に近い位置にマイクがあるため集音もしやすく、またコンデンサマイクで非常に感度もいいです。
そのためセミナーなどでは こういったピンマイクというのは、非常に使われることが多いんですけども、こちら周波数帯がB帯というもので、近い周波数同士のマイクは少し音声が混信してしまうという場合があります。
例えばこっちのマイクでしゃべったのが別のマイクの方でも少し入ってしまうとか、そういったことですね。
または会場によってはB帯のマイクがその他のマイクに影響を及ぼすので、B帯のマイクは使えませんよ、というところもありますね。
続いてこちらの、今無線のラベリアマイクでしたが有線のタイプのものを付けてみたいと思います。
こちらは有線のタイプのラベリアマイクですね。
こちらにつきましては機動性という意味ではやはりケーブルがあるので少し劣るんですけども、こちらも非常に、コンデンサマイクで感度も良く、また無線ですとどうしても電波の影響を受けてしまう、ノイズが入ってしまうということがあるんですけども、その点こちらの有線のものであれば、確実にノイズ少なく音声を拾うことができるという形になります。
これがラベリアマイクの有線のタイプですね。
続きましてハンドマイクですね。
こちらが無線のもの、そしてこちら有線のタイプのハンドマイクになります。
こちらのハンドマイクにつきましては、セミナーなどでも使うことは多いんですけども、あまり慣れていない方ですと、少し口からマイクを離してしまうことで音量のバラつきというのがどうしても出てしまう可能性はあります。
ですが右に左に向くような場合もしっかり口の近くにマイクを持っていれば、集音がしやすいという特徴があります。
こちらの無線のタイプのハンドマイクも先程ご説明したB帯という周波数の電波を使っていますので、先程言ったように近い周波数帯の別のマイクの影響を受けてしまうとか、あるいはTAXIの無線とかですね、会場の、その他の近い会場で使っているB帯のマイクと混信してしまうなどの影響は考えられるので、不安な場合はやはり有線のタイプのマイクの方がいいかもしれません。
やはりハンドマイクですと片手が塞がれてしまうということがありますので、身振り手振りですとか、両手を完全に自由にしたい場合はやはりラベリアマイク、こちらのピンマイクの方がいいということになりますね。
一方ですね こちらの有線の方のハンドマイクをテストしてみたいと思います。
はい、こちらが 有線のタイプのハンドマイクです
いかがでしょうか。
こちらのマイクにつきましてはコンデンサマイクでなくダイナミックマイクですので、音の聞こえ方もまた少し違うんではないかと思います。
感度が抑えられているので大きな声量にも耐えられて、細かい音ですね、細かい音をやはり拾いづらいですが、歌などでもよく使われているように、繊細な声というよりは声量で聞かせるような場合ですと、やはり向いているタイプのマイクではないかと思います。
逆に例えば歯擦音と言って、スッていう音ですとか、呼吸音などが感度が低い分入らないので、いいという場合もあります。
落ち着いた音声を聞かせるという目的であれば使い勝手がいいかもしれません。
そして続いてはバウンダリマイクの方を用意してみたいと思います。
はいこちらがバウンダリマイクの音声になります。
こちらですね 先ほどもご説明しました通り、360度、全指向性ということで、幅広い声を拾う代わりにやはり口との距離は離れているものですので、このように離すとやはり音量は少し下がっているかなと思います。
ですので会場の声を拾う、環境音を拾うという目的もそうなんですけど、例えばこのマイクを置いておけば、近くにいる方の声を入れることもできるんですけど、当然このマイクから遠いとその分、声も遠い感じになってしまいますので、もし配信、収録等で使う音声として使うには、結構ボリュームを上げてその分ノイズを抑えるという工夫をする必要があるかなと思います。
ただハンドマイクもそうなんですが やはりマイクを身につけるほどでもない場合は、ハンドマイクをお渡ししてしゃべってもらうとか、こういうようなものを近くに置いて、これに向かってしゃべってもらうという形で、あとはボリュームにつきましては上げたければその分ノイズは乗ってきますので ノイズは抑えるなどの処理を、うまミキサーですとか編集の時点でするようなことで回避することはできます。
そういう意味では講演者の方向けではないんですけども、一般的なニーズとしては、やはり会議などでこちらのマイクを囲んで、いろいろなところからの声をオンライン会議の相手に届けるというような感じで使うことも多いのがこのバウンダリーマイクというタイプになります。
はい そして続いてがガンマイクですね。
今撮っているカメラが3mくらい離れた位置にあって、そこのガンマイクで今音を拾っている状態です。
ガンマイクというのは先ほどもご説明しましたが、単一指向性、超単一指向性と呼ばれたりもしますが、この方向に対してやはり強いですので、マイクを身に付けるというのが、例えば衣装ですとか動き回るのであまり向かないような場合は、どうしてもこう言ったマイクで拾うと。
このガンマイクを例えばポールなどに付けて、なるべく近いところに持っていって集音するなど、という形になるかと思います。
やはりこちらも離れている分どうしても遠い感じになってしまいますので、少し音量を調整して適正な音量まで上げる場合は、その分少しノイズも、多少はやはりラベリアマイクとかハンドマイクに比べると乗ってきてしまうというところで調整が必要ではあります。
あとは屋外などではこのガンマイクの方もやはり、風防と言って、こちらのスポンジもそうですが、風切り音とかですね、風の音なんかを入りづらいように、こう言ったスポンジで囲まれていたり、ファーというか 毛のようなものが付いていて風の音を拾いづらいようになっているとか、というようなものになります。
ですので カメラにこのように付いていることが多いので、カメラを向けてインタビューするときなどは、非常に使えるものですね。
そして最後に卓上のマイクスタンドということで、先ほどのマイクの形状とはまた別で、こういったスタンドですね。
今集音してるのはこちらのグースネックと呼ばれる、割と自在なタイプのスタンドなんですけども、こちらの先に付いているコンデンサマイクの方から集音しています。
このように真っ直ぐのストレートタイプのものもあったり、折れ曲がるアームのようなもの、またはここに棒が付いているブームと呼ばれるようなタイプのものですとか、様々なマイクスタンドがあります。
これらもですね、外部の会場、ホールなどで演台に備えつけられていたりと、ピンマイクを設置しなくても、ここに来てしゃべっていただくというような用途で、こういったスタンドがあるといい場合もあります。
ただどうしてもこういったスタンドは一人しゃべり向けというか、一方向に向かって離す場合は基本的にクリアに拾えると思うんですけども、この声と、こちらを向いている声ではやはり拾い方が少し変わってきてしまうと思いますし、音量や音質のバラつきが出てきてしまうのかなと思います。
ですので講演者が大勢いるときにマイクの付け替え等も必要なく、ここに来てもらってしゃべってもらえればいいという場合にはとてもいいと思います。
はいこのように様々なマイクの形状やスタンドなんかもご紹介しましたが、結局のところやはりいい音質で声を拾いたいという場合には、口に対して マイクがどのくらい近いかというのが、当然マイクの感度などもありますし指向性の問題もあるんですけども、やはり口に近いということがなるべく地声に近い形のいい音を拾えるということになりますので、ラベリアマイク、ピンマイクと呼ばれる、ここに付けるものですね。
一番口に近く動きに対しても強いということで、そのほか ハンドマイクで口に近づけていただく、あるいはこういったスタンドを使って口に近いところでしゃべっていただくという工夫をされると、聞いている方にクリアな音質を届けられるのではないかと思います。
というわけでいろいろなマイクを実際に使って集音し、今 配信に乗せておりますのでどのように聞こえ方が違ったかなど、参考になる部分があれば嬉しいなと思います。
ありがとうございました。